今回は偶然見つけた1冊の本をご紹介します。
「これからのナースに実践してほしいこと」
これは、山口県出身の日野原重明さんというドクターが書かれた本。
残念ながら、2017年7月18日にご逝去されたようです。
この本は、日野原先生が全国各地で行ったセミナーの内容を1冊の本にまとめたもので、語り口調の文章でとても読みやすいのが特徴。
このような看護に関する本は、小難しくて読んでいても理解するのに精いっぱいで楽しくないものが多いのですが、この本は実際にセミナーに参加しているような錯覚を起こすほど面白くて引き込まれる内容となっています。
これからのナースは看護だけではダメ
看護師なのに「看護だけではだめ」なんてちょっと困惑してしまうかもしれませんが、本の中では看護と共に「医学もしっかり学ぶ」ということが何度も繰り返し書かれています。
いわゆるEBN(Evidence Baced Nursing)根拠に基づく看護ですね。
学生時代によく「根拠は?」と聞かれて困った人も多いのではないのでしょうか。
根拠を持って看護するなんてそんなの当たり前。
みんな看護学校で習うのだから頭では分かっている。
でも、「現場でEBNが実践できていますか?」と問われるとちょっと考え込んでしまう人もいるかもしれませんね。
本の中で、熱があったら入浴は避けるべきと言われているが、どうして入ってはいけないの?と問いかける部分があります。
確かに…よくよく考えるとどうしてだろう。
「今までそうしてきたから、なんとなく皆そうしているから」はっきりとした理由もなく、前習えで行っていることがたくさん存在していることに気付かされました。
看護師も診断できるだけの知識を身に付けよう
この本の基本的な内容は「とにかく知識を持ちなさい!」ということなのですが、それがかなり分かりやすく、現場でも実際起こり得ることばかり書かれていて読んでいて面白いのです。
その中でも、日本とアメリカの看護を比較した内容に興味を持ちました。
アメリカでは看護師も医者と同じレベルの知識を持ち合わせていて、医者の代わりに診断をすることもあるそうです。
診断というと語弊がありますが、看護師が患者の状態を細かく見極めるだけの高い能力や知識があるということです。
本の中に、看護師が外来診察をするという語りがあるのですが、アメリカでは医者と看護師の壁はなく、お互いに信頼し同等の立場で意見交換できる関係が成立しているらしいのです。
違う国を引き合いに出しても、それはそれ、日本は日本。それも十分承知の上です。
文化も人も何もかも違うのですから日本でアメリカと同じようにできるとは思いません。
でも、看護師として最大限の知識を持って判断し、医者と同等の考えで意見が言えるなんて憧れませんか?
私はとっても憧れます。
日野原先生は、これから日本の看護師はこんな風にならなければいけないよ、そうしないと医学の進歩についていけなくなるよと、この本で語っているのです。
看護師が最大限の知識を持つことは、患者を救う第一歩なのかなと思いますね。
結果主義者の日野原先生の言葉は意外性がたくさん
「結果良ければ全てよし」
日野原先生は資格の有無に限らず、能力があるならば、たくさんの人に医学や看護に携わってほしいと考えていたようです。
資格がなければできないなんておかしい。
できないなら覚えればいい。
そこに有資格者かどうかの境はない。
知識と技術があれば、誰でもスペシャリストになれる。
いつか日本にも看護師が診断する時代がやってくる。
そのために、医学の知識をしっかり身に付けるべきである。
日々向上心を持って努力し続けていれば、医者をしのぐ看護師になることができるかもしれないということです。
法律の上での制限はあるけれど、一個人の能力はそれに当てはめるべきでなく、努力次第でどこまでも伸びる可能性があるという考え方。
看護師だからここまでのことしかできないと自分で限界を決めるのではなく、もっと上を目指せるのかもしれないと思える前向きな言葉ばかり。
読んでいると無性に勉強がしたくなるという不思議な効果もあり、日々の業務がマンネリ化している人にこそ読んでほしい1冊です。
本当におすすめですよ。
良かったらぜひご覧になってくださいね。