看護師と准看護師。実際の仕事内容はほとんど変わりがありません。
それゆえに、看護師同様、『准看護師に同じ仕事を振り分けていいのだ』という考えが蔓延しているように思います。
仕事でこんなことないですか?
ちょっと待ってください!
これ、間違ってます。
実は、准看護師には『看護計画立案はできない』という決まりが存在します。
看護師よりも安い給料なのに同じように仕事をするなんて、できれば回避したいと思うのが人間ですよね。
周りは知らない、さらには准看護師である本人さえも知らないことかもしれません。
可能な業務以上のことを求められてしまう前に正しい知識を持っておきましょう。
看護業務基準を見てみよう
では、准看護師が看護計画を立案できないという根拠についてお話ししようと思います。
以下は『看護業務基準2016年改訂版』1-3看護実践の方法より一部分を抜粋したものです。
1―3―3
看護を必要とする人を継続的に観察し、状態を査定し、適切に対処する。
看護職は、看護を必要とする個人、家族、集団、地域等を継続的に観察して、健康状態や生活環境等を総合的に捉えて査定した上で、支援を必要とする内容を明らかにし、計画立案、実行、評価を行う。この一連の過程は、健康状態や生活環境等の変化に迅速かつ柔軟に対応するものであり、よりよい状態への支援を行うために適宜見直し、必要に応じて様々な資源を活用する。看護業務基準2016年改訂版,日本看護協会HPより
ここでいう看護職とは、もちろん「看護師」と「准看護師」を指しています。
このままだと、准看護師も計画立案を行うことができるという解釈になります。
しかし、最後の部分に准看護師に関する留意点が記載されています。
【留意点:准看護師】
「看護業務基準」は全ての看護職を対象としているが、看護師と准看護師の法的規定及び教育時間・内容や教育の基本的考え方には、違いがある点に留意が必要である。○看護師と准看護師の業について(保健師助産師看護師法)
・看護師 :「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」(第5条)
・准看護師:「都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者」(第6条)○看護師と准看護師の教育の基本的考え方(看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン)
・看護師 :「科学的根拠に基づき、看護を計画的に実践する基礎的能力を養う」等
・准看護師:「医師、歯科医師、又は看護師の指示のもとに、療養上の世話や診療の補助を、対象者の安楽を配慮し安全に実施することができる能力を養う」等これらの違いに基づき、「1-3 看護実践の方法」のうち、以下については准看護師に求められる要求水準が看護師とは異なる。
・「1-3-3 看護を必要とする人を継続的に観察し、状態を査定し、適切に対処する」は、准看護師は看護師の立案した計画に基づき、看護師の指示のもと、看護を必要とする人に対する支援を行う。看護業務基準2016年改訂版,日本看護協会HPより
准看護師は計画立案できない
業務手順をみれば明らかですね。『看護師の立案した計画に基づき』と明記してあります。
つまり、冒頭の『看護計画立ててね』という業務は遂行できないことが分かります。
いわゆる、PDCAサイクル(Plan,Do,Check,Action)の「P」の部分ができないわけです。
けれど、実際の現場では、准看護師と看護師の業務が詳細に区別されていることは珍しく、ほとんどの准看護師が看護計画を立案している状況ではないでしょうか。
同じ業務なのに給料は安い。
「准看護師のくせに」など、若干資格差別的な扱いをされる一方で、仕事は同じようにこなさなくてはならないという理不尽な状況。
このあたりが改善されるともっと准看護師のモチベーションもあがると思うのですが。
と言いつつ、前回記事にしましたがこれからは看護師資格ありき。
准看護師は自然淘汰される未来が待っているはずなんですよね。
みなさん、一度はお聞きになったことがあるでしょう。 准看護師制度がいつか廃止されるのではないかという噂。 しかし、現在も准看護師制度は維持され新しく准看護師資格を取得する人はいるわけで、現時点でははっきりした答えがなく今後の動向[…]
そういった背景から『准看護師で不当な扱いを受けて不服があるなら、看護師の資格を取得しなさい!』という無言の圧力がかかっているような感じもしなくはないです。(これは、完全に私の被害妄想です)
できること、できないことを理解して損をしない准看護師に!
理不尽な仕事を求められて、断ることができないのはよくある話です。
けれど、准看護師として、自分は何ができて何ができないのかを説明できるようになっておくことも必要かなと思います。
きっと准看護学校では教えてもらえるはず。私は教えてもらいました。
知っていると働き方もちょっと変わるかもしれません。
少しでも自分を楽にさせてあげられるように、基本的な部分をしっかり押さえておきましょう。